史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

プロローグ 詩人の魂

史(ふひと)独白 もう本人も忘れてしまった遠い日々、必死に書き連ねたであろうノート1冊が、プリントすると、わずか10ページくらいに納まってしまう。そうして、凝縮してしまった日々の重みを、すでに遠く消えてしまった私の細胞を感じ、直すことさえか…

Vol.14−2

31.心流れて 流れよ 流れよ 僕の心 君への愛 嵐の後 水は尾を引いて流れた 今まで築きあげた 何もかも 一瞬に流れてしまえ 何もかも 残さないように 一つの出会いが 一つの愛が不意に終った この世に永遠というものはない 信じていた たった一つのものが …

Vol.15

詩Vol.15 1.路地とコインと救世使 少女から女性になろうとしている子が すすり泣いているのは 夜の路地です 下宿から吐き出されたのを 両手を上に伸ばして歩いてきた 救世使が気づきました 彼の右のポケットにコインが3枚入っています 一枚はちょうど横の…

Vol.14−1

詩Vol.14 1.瞳に写らない! 目が口ほどにものをいうなら なぜあなたはわかってくれない 僕が穴のあくほど 君を見ても あなたの瞳に 僕はゆれて 定まらない この僕の目は偽りなのか ガラス玉か そうなら うれしいけど あなたの瞳にあふれた涙が 僕をぬぐい…

Vol.13-1

詩Vol.13 1.平和という危機感 平和 それは恐ろしき退廃に向かっていく すべてを緊張状態の均衡に ぶらさがっていたときにはまだしも 精神の底からの 緊張のない平和な日々なぞ 続くはずがない 恐ろしい 何かが起こる このままで済むはずがない 戦争に初め…

Vol.12-3

46.雪を愛する 深く深く雪に閉ざされた冬 一人悲しく外を見る 雪は やむことを知らず 僕の心に積もっていく ああ あの暖かい日だまりは 木の葉の中に舞い散ったのか 北風がからっぽの腹を吹く 語りかける人もいず 荒れ狂う海 安らぎを知らず 語りかけてく…

Vol.12-2

26.君は世界を意味づける「棒歌」 君に捧げよう この歌を 僕の全てを賭けて 君に告げるため 君に捧げよう この歌を つまらぬ男だって その胸に入り切れぬほどの 夢を持つことはあるさ (神様は禁じてはないもの) その夢の中に 君ほどの女を呼びこんでも …

Vol.12-1

Vol.12 1.あなたの色 僕の心臓に カラフルな色で 美しい絵を描こう 晴れた日の透みきった色で 大きな空を 広い海を にぎわいだ街を 活気にみちた人々を だけど いつも不用意にでてくる あの色 どす暗く 不明瞭でつかみようもない ぼんわりと広がり 絵を損…

Vol.11−2

詩Vol.11 31.恋狂 ああ 白棒の木よ おまえには 僕の前に広がる大海の荒々しさを それを渡っていこうとする僕の力強い決意を 僕のこの見にはあまりにあふれるのが もったいなくて 活かしてやったもんだね その僕が今日は 情けないくらいに ズタズタの心をひ…

Vol.11−1

詩Vol.11 1.月影 あなたは月を見るのが好きでしたね だから 今宵もどこかで見ているでしょう だって 今宵はこんなに美しいんですもの あなたは月しか見ない人でしたね 夜空の満天の星を従えて、ひときわ大きく輝く月 そう あなたもまた 月のような人だった…

Vol.10-2

詩Vol 10−2 41〜65 12/5 詩Vol 10−3 12/10 41〜88 12/5 8800 41.待つ 僕は待つ ただひたすらに 遠く思いうかべる 君を待つ たとえ君の心に はや 僕は消えうせ 君が 僕の見知らぬ男を 慕っていたとしても 僕は待つ ただ ひたすら 遠く思いうかぶ 君を待つ …

Vol.10-1

Vol.10 1.恋心 君が気まぐれに 振り向くからいけないんだ 僕を思っているわけじゃないって 知りすぎているけど 一抹の期待をしてしまう 何度も 裏切られ 胸を引き裂かれ 心きしみ 痛み感じぬほどえぐられ それでも愚かな 我心 それでも愚かな 恋心 抜け出…

Vol.9

詩Vol.9 1.悲しむなよな そんなに悲しむなよな 俺だって 悲しいよ 叫び疲れて のど枯れて 結局 昨日とまた同じ 友もなけりゃ 酒もない 女もなけりゃ 飯もない みじめだよなー わかるよ わかるよ わかっているよ いいかげん 自分を慰めていると よけいみじ…

Vol.8

Vol.8 1.風にのって 風にのって ふるさとに帰ろう あの丘に登り 大の字になり 土になろう 果てしなく澄んだ青い空 草の匂いは すっぱく 太陽はいつまでも落ちない ずっと そうして 遠く広がるふるさとをながめていよう ふと思い出すのは あの日のこと あれ…

Vol.7-2

26.ジレンマ そこにやりたいものがある だから やらなきゃいけない それをやることが 僕にとって 何よりも幸せを感じることになる but・・・ そこにいきつくのは あまりにも遠い だから ときどき 僕は見ぬふりをしたくなる そこから逃げたくなる 燃える心…

Vol.7-1

詩Vol.7 1.僕の部屋 壁に閉ざされた 灯りひとつない部屋 出口が見えないなら 窓をあけて飛び出るはずだった その窓もない 突き抜けられない壁 天井 床 ドアも消えた部屋 外には光が満ち 溢れてるはずだった いったい僕はどこから 入ったのだろう 2.冬の…

Vol.6

詩Vol.6 0035 「雪」君は 窓に額をつけて 外をみていたぼんやりとうつろな目でみていた皆は不思議がってたずねた君は答えた 「雪が白いから」皆は笑った でも雪は白かった君は白い息を吐きながら 外をみていた曇ったガラスをぬぐってみていた皆は何をみ…

VOL.5 586〜595

86.遅すぎた秋 愛かもしれぬと 気づいたときは おかしくって おかしくって 古い思い出に しばられて 本当の僕の心は 飛んでしまった 夜空の下の 田んぼ道 笑いながら 送ってあげた 君だから 送ってあげた 僕は照れてしまっていただろうか 想い出は そうな…

幼き恋     585

幼き恋 いじめたい気持ちは かわいいからよりも 幼い愛そのものだった なんて 女になりゆく君を見ながらも しいて目を伏せていた僕 女としてみることもなく 別れの予感 知ったから 女になりゆく君をそのまま 僕の手で受け止めればよかった

去りしとき      584

去りしとき 年月経てば 過ぎ去ったことは 消えゆくはずなのに 忘れられぬばかりか ますます強く心もえぐる 気づかずによいことに 気づいてしまった 年月は流れ 人は去り どうすることもできない あのとき気づいていれば どんなに幸せになっただろうに うっか…

小石ころころ     583

小石ころころ 道端に転がっている小石にも それぞれ心あり 思いもあります その小石が たとえば 愛を語ったり 夢を抱いたりすることもあるでしょう 小石にすぎた身分なんていわないでください 飾り気のない小石は 誰よりも純で素直なのです 心を隠すなんてこ…

操り人形(2)     582

操り人形(2) そのほほえみは絶えることなく その身のこなしは板についていて 誰の目にも君は素敵な姿 君の瞳には幸福の他に何も見い出せない 少女は君になれる日を夢みて 少年は君の姿を憧れて 君は自分の美しさを知らないから 他の人が思うほど 幸せを感…

操り人形     581

操り人形 君は踊らされているのがわからない あいつにはもう決まった娘がいるのに 君はあいつにとってなんでもない ただの操り人形さ 君の捧げるその愛も 受け止めるわけもなく 報われず 思い悩むうちに 君はすっかり擦り減ってしまう それでも君は夢みるの…

思慕     580

思慕 昔 別れし その人の 雪降る窓にうつるとき 底に沈みし 我が血潮 ほのかにたぎりぬ 花散りし 心の酔ひの慰めに 君と歩きし この道も 白く悲しく 乾きにけり 鳥飛びし 心の声の歓びに 君をみつめし この街も 今はただに 羽を休めぬ 雲染めし 心の旅の終焉…

それしか     579

それしか いつものように 戻ってくる手紙は あてのない僕の心のさまよい 君の香に触れることなく 僕の涙でしめった文字を 乾かして帰ってくる 届く日もあろうことかと 儚すぎる望みをたくして それしかない それしか・・・

風     578

風 無性に 何かを話したいとき そっと 耳を貸してくれる人がいた そして ふっと ほほえむ人がいた それだけで 僕の心は 洗われて ここちよい風が 吹き抜けた その風は 今はいずこ どこへ 行ってしまったのか

かごのなかの鳥     577

かごのなかの鳥 とても美しく整った羽でした たくましく伸びた羽でした いつも考えるのです この羽でどこまで飛べるかって いつも思うのです あの雲の上までいけるだろうって 空想の世界が あの青空よりも広いのは 不思議なことです そこにいる限り いつも飛…

届かない想い     576

届かない想い プラットホームの片隅に 青いブレザーを着て 水色のショルダーを 細い肩にかけていた 少女らしさが まだ抜け切れないまま すっと つまさきを見る そのしぐさは なんとなく 女らしく なってしまって 美しく なってしまって 遠く なってしまって …

命綱     575

命綱 あきらめてしまえば すべて終わりだよ 君は 気づいていないだけさ 君がなんとかつかまってきた その綱は命綱だってことに なんとなく 手を離してしまえば 君はまっさかさまに落ちてしまうさ 気持ちのよい陶酔感に浸りながら 気づいたときは どん底さ だ…

小悪魔     574

小悪魔 君は天使の顔をした小悪魔 君のそのほほえみに出会った奴は たちまち恋のとりこにされる 罪深い君は 何も知らないで まばゆい顔をしているけれど その瞳が その口もとが どれほど純な心を傷つけてきたか 君は知らない 何にも だから恐ろしい 君は 君…