史の詩集(続)Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集の続きです。

VOL.5 586〜595

86.遅すぎた秋 愛かもしれぬと 気づいたときは おかしくって おかしくって 古い思い出に しばられて 本当の僕の心は 飛んでしまった 夜空の下の 田んぼ道 笑いながら 送ってあげた 君だから 送ってあげた 僕は照れてしまっていただろうか 想い出は そうな…

幼き恋     585

幼き恋 いじめたい気持ちは かわいいからよりも 幼い愛そのものだった なんて 女になりゆく君を見ながらも しいて目を伏せていた僕 女としてみることもなく 別れの予感 知ったから 女になりゆく君をそのまま 僕の手で受け止めればよかった

去りしとき      584

去りしとき 年月経てば 過ぎ去ったことは 消えゆくはずなのに 忘れられぬばかりか ますます強く心もえぐる 気づかずによいことに 気づいてしまった 年月は流れ 人は去り どうすることもできない あのとき気づいていれば どんなに幸せになっただろうに うっか…

小石ころころ     583

小石ころころ 道端に転がっている小石にも それぞれ心あり 思いもあります その小石が たとえば 愛を語ったり 夢を抱いたりすることもあるでしょう 小石にすぎた身分なんていわないでください 飾り気のない小石は 誰よりも純で素直なのです 心を隠すなんてこ…

操り人形(2)     582

操り人形(2) そのほほえみは絶えることなく その身のこなしは板についていて 誰の目にも君は素敵な姿 君の瞳には幸福の他に何も見い出せない 少女は君になれる日を夢みて 少年は君の姿を憧れて 君は自分の美しさを知らないから 他の人が思うほど 幸せを感…

操り人形     581

操り人形 君は踊らされているのがわからない あいつにはもう決まった娘がいるのに 君はあいつにとってなんでもない ただの操り人形さ 君の捧げるその愛も 受け止めるわけもなく 報われず 思い悩むうちに 君はすっかり擦り減ってしまう それでも君は夢みるの…

思慕     580

思慕 昔 別れし その人の 雪降る窓にうつるとき 底に沈みし 我が血潮 ほのかにたぎりぬ 花散りし 心の酔ひの慰めに 君と歩きし この道も 白く悲しく 乾きにけり 鳥飛びし 心の声の歓びに 君をみつめし この街も 今はただに 羽を休めぬ 雲染めし 心の旅の終焉…

それしか     579

それしか いつものように 戻ってくる手紙は あてのない僕の心のさまよい 君の香に触れることなく 僕の涙でしめった文字を 乾かして帰ってくる 届く日もあろうことかと 儚すぎる望みをたくして それしかない それしか・・・

風     578

風 無性に 何かを話したいとき そっと 耳を貸してくれる人がいた そして ふっと ほほえむ人がいた それだけで 僕の心は 洗われて ここちよい風が 吹き抜けた その風は 今はいずこ どこへ 行ってしまったのか

かごのなかの鳥     577

かごのなかの鳥 とても美しく整った羽でした たくましく伸びた羽でした いつも考えるのです この羽でどこまで飛べるかって いつも思うのです あの雲の上までいけるだろうって 空想の世界が あの青空よりも広いのは 不思議なことです そこにいる限り いつも飛…

届かない想い     576

届かない想い プラットホームの片隅に 青いブレザーを着て 水色のショルダーを 細い肩にかけていた 少女らしさが まだ抜け切れないまま すっと つまさきを見る そのしぐさは なんとなく 女らしく なってしまって 美しく なってしまって 遠く なってしまって …

命綱     575

命綱 あきらめてしまえば すべて終わりだよ 君は 気づいていないだけさ 君がなんとかつかまってきた その綱は命綱だってことに なんとなく 手を離してしまえば 君はまっさかさまに落ちてしまうさ 気持ちのよい陶酔感に浸りながら 気づいたときは どん底さ だ…

小悪魔     574

小悪魔 君は天使の顔をした小悪魔 君のそのほほえみに出会った奴は たちまち恋のとりこにされる 罪深い君は 何も知らないで まばゆい顔をしているけれど その瞳が その口もとが どれほど純な心を傷つけてきたか 君は知らない 何にも だから恐ろしい 君は 君…

今もここで     573

今もここで 今日も一人 またいつものところで いつものように まちぼうけ 晴れてる日は 心もからりと あきらめきれるのだけど 今日のように 空が泣き出しそうな日は 空より早く 私のほほに涙 いつまで待ったらいいの そんなバカなことは 考えてしまったら ど…

.~したいときは     572

.~したいときは 眠ってしまいたいときは 眠れないものですね 今日のできごとが まるで遠い昔のことのように ぼんやりと流れてきます 笑ってしまいたいときは 笑えないものですね 僕のどこかに君が ずっと棲んでいたなんて 気づくのが遅すぎました 君と目が…

ふるさと     571

ふるさと ふるさと 思い出 心にしまわれたものを 訪ねに帰ってきました うつろになったこの心 若き日のたぎりを確かめたくて もう一度だけと 帰ってきました ああ これがふるさとの匂いです 僕の生れた街 そして 君と暮らした街 あのころの思いをこめたもの…

叶わざりけり     570

叶わざりけり 君を訪ねし愛の日は 耐え難き暑き陽も 我が心のにぎたつ思いに 叶わざりけり 君を呼びだすベルの音に はるばるいだきつ思いも 君の香 匂ひし声に 叶わざりけり 君に話せし言の葉は 一夜寝ずに考えしも 君の出だせし一言に 叶わざりけり 君との…

石ころ その後     569

69.石ころ その後 君の心が僕にあると知ってから 僕にも君しか見えなくなりました 君に何もかも話し 君は何もかも聞いてくれました 僕は本当に一人ではなくなりました 君は笑うことができました その瞳を輝かし まばゆい美しさをふるまき 僕に唯一のかけ…

石ころ     568

石ころ ふと道端で 拾ったのは小さな石ころでした どうしてそんなに気になったのかわかりませんが そうせずにいられぬ何かが 僕の心に呼びかけたのです なんとなくポケットに入れていた石ころが いつの間にか かけがえのないものに思えてきました 僕の心があ…

運命     567

運命 どうして君はそんなに強く生きれるの 僕の差し出す手に見向きもしないで ほほえんでくれるのに 笑ってくれない 耳を傾けてくれるのに 受け入れてくれない この孤独 都会の中にいても 君の心は何一つ 動かない あまりに気高いプライド 君の心の奥には 君…

報い      566

報い 君をひと目みた その日から 君を想う心の歓びは 時がたつにつれて ひどく苦しいものとなった 胸の上の方が焦がれて 頭の中はいつもかすみ なんとなく 遠くをみつめて ものおもいしている 毎日 愛することがこんなに苦しいなんて 君を愛して初めてわかっ…

一言     565

一言 この都会の中に投げ出された 君を守ってやりたいと 遠く故郷を後にして 君を追ってきた こんなにそばにいるのに 遠い心 もてあまして 君を見つめているだけ そんなにしてまで 君は暮らしていく この人ゴミの中に その美しさを投げ出して 澄んだ水が流れ…

おもかげ     564

おもかげ 長い髪の人をみると 君を思い出す 苦しいほど 何ともしがたい この思い ふとすれ違った人の匂い 心に焼き付いていた君が ふんわり浮かんでくる

再会     563

再会 今日は僕は 何も言わない 君を励ます それだけが精一杯 今度君と会うときは もう少し大人になっている そのときでいい それまで待とう 君を幸せにできる それだけの人間になれたら 必ず 一度会いにくる それまで待っててほしい 僕を信じて 待っててほし…

恋の日々     562

恋の日々 恋して恋してかなわなかった その想いは いじ悪く苦いもの かもしれないけれど それだけ恋することができた そんな人に会えたことも そんな人を知りえたことも そんな人を愛したことも だからこそ 苦い恋だけど なければなかった恋だけど それまで…

志     561

志 君にささげよう この唄を 何一つできなかったけど この想いは誰にも負けない いつも心の片隅に君を宿して 今日まで生きてきた 君は知らない この想い 振り切ろうとするほどに また積もる その苦しさを抱えたまま こうして歩く 今日も 果てしなくつづく 長…

遺品I・II 560

遺品I どうして君は旅立ったの どこに向かって飛んでくの 生まれたときから親しんだ この美しい森を捨ててまで そんな小さな羽で どこまで行ける 森の外に何がある 限りない草原か 枯れてしまった荒野か 生きていける 何もない そんなにさびしいとこなのに …

恋慕     559

恋慕 恋しくて恋しくて 耐えられない 湧き出るこの想い どうしようもなく恋しい そんなとき がむしゃらに 夕日に向かって走り走り 海に向かって叫びに叫び 体が壊れるほど 疲れ 疲れ それしかない 何も考えられなくしてしまいたい 汗で体ごと溶かしてしまい…

待ちぼうけ     558

待ちぼうけ 何も悲しいことなどありゃしない 人生素通り 待ちぼうけ あなたと出会った運命は あなたに別れる運命と 同じ定規で曳かれてた 時を経て ゆるんだ手綱は 君を醒ました 熱く燃えていた夏の日は 秋の来るのを知らなかった 働きつかれたアリたちは 冬…

悲喜こもごも     557

.悲喜こもごも この愛を君にぶつけて この僕が壊れてしまえばいい でも もし君が壊れてしまったなら そんな恐れにこの僕は 身動きできずに苦しむ さよなら 初恋の人 初めて話したその日が 別れの日となるなんて なんと悲しいこと 今まで夢であったものが 現…