史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

恋の日々     562

恋の日々 恋して恋してかなわなかった その想いは いじ悪く苦いもの かもしれないけれど それだけ恋することができた そんな人に会えたことも そんな人を知りえたことも そんな人を愛したことも だからこそ 苦い恋だけど なければなかった恋だけど それまで…

志     561

志 君にささげよう この唄を 何一つできなかったけど この想いは誰にも負けない いつも心の片隅に君を宿して 今日まで生きてきた 君は知らない この想い 振り切ろうとするほどに また積もる その苦しさを抱えたまま こうして歩く 今日も 果てしなくつづく 長…

遺品I・II 560

遺品I どうして君は旅立ったの どこに向かって飛んでくの 生まれたときから親しんだ この美しい森を捨ててまで そんな小さな羽で どこまで行ける 森の外に何がある 限りない草原か 枯れてしまった荒野か 生きていける 何もない そんなにさびしいとこなのに …

恋慕     559

恋慕 恋しくて恋しくて 耐えられない 湧き出るこの想い どうしようもなく恋しい そんなとき がむしゃらに 夕日に向かって走り走り 海に向かって叫びに叫び 体が壊れるほど 疲れ 疲れ それしかない 何も考えられなくしてしまいたい 汗で体ごと溶かしてしまい…

待ちぼうけ     558

待ちぼうけ 何も悲しいことなどありゃしない 人生素通り 待ちぼうけ あなたと出会った運命は あなたに別れる運命と 同じ定規で曳かれてた 時を経て ゆるんだ手綱は 君を醒ました 熱く燃えていた夏の日は 秋の来るのを知らなかった 働きつかれたアリたちは 冬…

悲喜こもごも     557

.悲喜こもごも この愛を君にぶつけて この僕が壊れてしまえばいい でも もし君が壊れてしまったなら そんな恐れにこの僕は 身動きできずに苦しむ さよなら 初恋の人 初めて話したその日が 別れの日となるなんて なんと悲しいこと 今まで夢であったものが 現…

花びら     556

花びら 雪どけた茶色い地面は 冬の冷たさを残している いつものように 春の光を浴びていれば よかったはずなのに どこからまぎれ 吹かれてきたのか 一枚の花びらが 舞ってきた 白く色づきはじめた 桜の花びらだった その美しさを 出し切れないうちに 哀しく…

君の道     555

君の道 耐えて報われる苦しみならば 何が苦しかろう いかに待っても苦しかろうか かなわぬものを愛してしまった その想いは かなうこともなければ のぞくこともできない 君は小高い丘に立って 沈みゆく陽に照らされて 空を見つめてる 君の目は 赤く疲れ切っ…

迎春     554

迎春 昔 別れしその人の 今に至りぬ 面影 消ゆることなく 近づけぬのは 耐えれども 遠ざかれぬのは 苦しかりけり 忘れざりし君 今 再び 春の生気を吸い込んで 青づきはじめし色の美味 雪溶けて 春の至り感じるとも 淡き想い動きはじめぬ 白き雪におさえられ…

さびしいひと その後     553

さびしい人 その後 さびしさを失った人は知りました 笑顔も喜びも 希望も夢も 自分が好きなように 心をあやつることを知りました 確かに自由でした でも ほんとうに自由では なかったのかもしれません 一日の始まりが朝起きることで 一日の終わりが夜寝るこ…

さびしい人     552

さびしい人 とてもさびしい人がいました 笑顔もなければ喜びもない そんなふうにみえました いつもそうみえました とてもさびしい人がいました 希望もなければ夢もない たしかにそうでした 何もそこにはありませんでした そんなさびしいだけで うらびれた人…

一途な心     551

一途な心 あなたを慕う切ない心 この私のどこかに まだ生きていた その執拗さは、私を脅かす 初恋は 消えたころの美しい思い出 そんな甘いものには なりえなかった 恋焦がれ苦しんだ そんな気持ちを 記憶の外に遠ざけた あなたに 出くわした それだけで 今、…

駅のホームで     550

駅のホームで 昔、別れたその人がいた 駅のホームに立っていた ぼんやり空をみつめてた 春の光の中に まるで妖精のように きらきらと輝いていた 春の風の中に 遠く想いをはせるように 髪をながしていた 停まった列車に目もくれず 発車のベルも聞こえないの …

じゃあな     549

じゃあな どうにでもなりなよ ついてきたお前が悪いのさ こうなることはわかっていたはずさ 何も知らなかったわけじゃないし 俺は一人でしか生きられないって あれほどいったじゃないか 形だけつくろって ここまで おまえのやさしさ わずらわしい おまえのあ…

J 548

J もう何もいらない 誰からも愛されなくてもいい あなたの横にいられるなら 誰かに愛されたいと願う Jもそんな女の子でした 毎日 祈りを捧げておりました 年頃になると きれいになりまして その瞳には いつも多くの男の子が 写っていました 悪癖といっては J…

人生航路     547

人生航路 いつでも手が届くと思っていた あなたの目に 私は入っていなかった なんて皮肉な なんて哀れな 去ったあと わかった 君への愛 大切なもの 失ってしまった 愛しているっていってくれた ずいぶん昔だったけど 君は本気だったのか 気持ちを汲めなかっ…

大きな愛     546

大きな愛 人を愛するようになって 初めてわかった たった一つの笑顔見たくて 疲れた日曜日 早朝から 連れていってくれた人の気持ち 僕は何も気づけなかった どんなに疲れてて どんなに一日休みたいのか それにもまして 僕の喜ぶその姿 見たかった 僕はそんな…

気分一新     545

気分一新 さびしさに 心痛むときは 青空を一つさすらう雲に 心をのせて どこか遠く 思いをはせてみよう 重い心は 簡単に飛ばないけれど 涙すれば その分 軽くなるかもしれない 高く 高く あがっていこう 地上が見えなくなるほどに 遠く 遠く 飛んでいこう 誰…

悲しみ     544

悲しみ 悲しみのどん底に落ちてしまったなら これ以上 悲しいことなんて ありゃしない 悲しくなれるってことは 幸せなのさ 悲しくなれないほど 不幸せな人もいる じっと 心の奥がみえてくる たった ひとかけらの幸せが 輝いているからさ 今まで多くの邪心に …

夕日のように     543

夕陽のように 夕陽があんなに 悲しく美しいのは 精一杯 燃えた一日 叶わず沈んで 報われなかった その恨み 赤い色に拒んで 無害に静かに そして確かに沈んでいく 誰も知らない その美しさの陰に この一日を創り出した大きな力を 君をたたえよう 心から 沈み…

人生気まぐれ     542

人生気まぐれ 信じられるものが すべて失われて 耐えられないほどの 苦しいときも 何度かあった 明日を思い浮かべられぬ日 これで終わりだ もうどうしようもない そう思ったはずなのに いつの間にか 今日がきている 癒せなかったはずの 疲労も 手さぐりして…

流れ星     541

流れ星 流れ星 すっと僕の胸をよぎった どこから来たのかわからない どこへ行くのかわからない 軌道をはずれて 一目散に落ちてゆく どこもかも真っ暗で 輝く星もない たとえ何かが見えようとも これまた人生 一直線 戻ることも 登ることもできない 身もだえ…

休もうよ     540

休もうよ 君は人生にピリオドを打つつもりかい その苦しみ その悲しみ 今の君にとっては 計り知れないほどの 大きさのもの 僕にはわからないって言ったね でも もう少し身体を休めてごらん 自分の悲しみが 他人の眼で みられるようになるまで そしたら そん…

だから私は     539

だから私は 何もかも 打ちひしがれ 心重く これ以上 何にもなれそうもない だから 私は幸せになれる 小さな歓びを 体に感じられる 乾ききった涙は 流れることはない 何もかも 夢破れ これ以上 悔やんでいても 何にもならない だから 今から 私は幸せになれる…

別れ     538

別れ 新しい人生の門出だと人は言う 卒業の 顔には微笑み 心に別れ涙 いつの間にか 美しくなって 近寄りがたくなった君が 蝶のように羽をのばす 君は飛んだ 春の盛りに 君は微笑んだ 日の光を浴びて 信じていた 君の笑顔 いつの日か 君が舞い降りてきてくれ…

出発     537

出発 苦しいことは 長い人生 さまざまに 降りかかるけど くじけちゃだめだよ 過ぎてしまえば 石ころさ うつむいて 足元みていても 何も起こらない 怖がらず ゆっくり 一歩を 踏み出すんだ そう まず一歩

足跡     536

足跡 あまりの苦しさに 街を飛び出して 誰もいない雪野原 倒れ伏せたまま 顔をうずめて 冷たさ 心の底から感じてた 一所懸命 歩んでた よき時代の過ぎたことに 気づかなかった 焦燥感は 敗北への鐘だった 酔うて 酔うて うぬぼれて いつの間にか 自分を失っ…

焼けぼっくい     535

焼けぼっくい 君の後ろ姿 何気なく横目で盗んでた 身動きせぬ 赤いカーディガンが いつの間にか 息づいて 温かいものが 僕に 再び 手に包むと 壊れてしまいそうな 君の後ろ姿 こんなに弱々しかっただろうか 忘れ 忘れ 忘れたいのを 忘れたつもりだった 僕の…

忘却    534

忘却 過ぎてしまったことは 今さら悔やんでも 仕方ないけれど 心に刻まれた傷は 癒すすべもない だけども 時は流れる 今 私が一人 悲しみに 打ちしがれていても だけども 時は流れる いつの日か これも些細な一夜に 過ぎなくなるだろう だから 今日までのこ…

終焉     533

終宴 おちる おちる おちる 冬に色づいた葉が 君はみつめていた 遠い日を おちる 木の葉にみつめていた 若く燃えてた 出会いの日から 時は知らず 身も知らず 色づき褪せた 二人の愛は 今 風に舞って散りゆく 君は何もいわず 落葉をみつめた 君の瞳は 静まり…