黒い鳥との会話 0023
黒い鳥との会話
君は誰だい
青い鳥を追い払ったやつだな
青い鳥なんて初めからいやしない
あれは人間が作り出したんだ
俺を悪者扱いするのは
やめたまえ
君と俺とは親しいはずだよ
そうかもしれない
僕だって君から逃れられるとは思ってないし
その気もないさ
だから君の気の召すように生きてきたさ
君は自分の機嫌を損ね感じるものに
ひどく冷酷だからな
そんな言い方はないぞ
俺を作り出したのは
人間たちだぜ
俺こそ人間たちの望むように合わせられてきたんだ
そして誰よりも人間たちを守ってやってるんだ
それなのに恨まれじゃ合わないね
確かに君に罪はない
あるとすれば君を作り出した人間たちだ
君を育てた人間たちだ
しかし彼らにしても
君がこんなに悪者になると思わなかった
いや君は彼の言う通りやってきた
彼らの考え方が変わったのだ
そう人間たちはあまりに人間らしい
そして俺を憎い憎いと言いながら
心の中では俺を崇拝している
だから俺は大きくなるばかりなのだ
なぜ人間は1つの観念を
空っぽのまま保ち続けるのだ
それはまだ僕にはわからない
ただ1つ彼らは一旦、腰を下ろすと
もう立ち上がりたがらないんだ
そしていつまでもそのままでいようとする
そう立ち上がると次の瞬間
椅子がなくなるかのように
もはや生命がないのさ
人間じゃない
ハハハハ、違う、それが人間なのだ
長い人生の浮沈の中で多くのものを学びとっていく
そして1番利口になった
それが彼らなのだ
その利口をもって人間の幸せのために
彼らは俺を作り出したのだ
ともかくも僕は行く
君への答えを見つけに行く
そうさ、僕は君にはかなわない
一緒にいる幸福は
彼らには幸福かもしれないけれど
僕には不幸だ
君に引っ張られて
たどり着くところは墓場しかない
僕が墓場に行くのに
君の手を借りる必要はない
いいのかい、君は
俺が幸せをもたらさないって
よく言った
俺と手を切ったばかりに
どれだけの人間が悲惨な最期を遂げたか
俺は人間を幸せにしたい
だから言う
俺に従え
君は不幸な男だ
どうしても俺を捕まえられない
奴ばかりのこの世の中で
俺から逃げるなんて
なんて馬鹿な奴だ