史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

夏祭り     524

夏祭り

 

お日さまが ちゃめっけ出して

顔を赤らめて

空が白けて 月がのぞきでたころ

村のはずれから

めちゃめちゃ音頭がひびいてくる

 

子供にかぶさる浴衣や

ものなれぬものをのせた下駄

おまえにしがみつく帯や

手持ちぶさな手をひっぱって

ぞろぞろ ぞろぞろ

せまい通りを連なっていく

 

驚いたお日さまはストーンと

山の溝に落ち

空はカーテンをひっぱった

夏の夜にかんかん音頭が

ぞろぞろたちを躍らせる

 

大きな輪が真ん中に少しずつ

吸い込まれて くしゃくしゃにうずまいている

悲鳴や絶叫が遠くまで

どんどん音頭に加わって

熱気好きの夏野郎が

これが最後とばかり 調子に乗り出す

 

芋のかげでは コオロギたちが

むなしいリハーサル

夏野郎がくたばったとき

やっと いつもの夜に戻る

ぞろぞろたちがにぎやかよそに

さびしく帰路につく