夏祭り
お日さまが ちゃめっけ出して
顔を赤らめて
空が白けて 月がのぞきでたころ
村のはずれから
めちゃめちゃ音頭がひびいてくる
子供にかぶさる浴衣や
ものなれぬものをのせた下駄
おまえにしがみつく帯や
手持ちぶさな手をひっぱって
ぞろぞろ ぞろぞろ
せまい通りを連なっていく
驚いたお日さまはストーンと
山の溝に落ち
空はカーテンをひっぱった
夏の夜にかんかん音頭が
ぞろぞろたちを躍らせる
大きな輪が真ん中に少しずつ
吸い込まれて くしゃくしゃにうずまいている
悲鳴や絶叫が遠くまで
どんどん音頭に加わって
熱気好きの夏野郎が
これが最後とばかり 調子に乗り出す
芋のかげでは コオロギたちが
むなしいリハーサル
夏野郎がくたばったとき
やっと いつもの夜に戻る
ぞろぞろたちがにぎやかよそに
さびしく帰路につく