史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

あなたがいたから     532

あなたがいたから

 

あなたの住んでた この街は

今も 何一つ 変わっていない

ちょっとした気まぐれに

誰も降りないこの駅に

 

なつかしさに誘われました

あなたと入った喫茶店に入り

あなたの好きだったクリームを食べ

 

あなたがいたから ぼくがいた

そんな時代がありました



あなたと出会った この街は

今も 夕やけに映える並木通り

することもなく 行くとこもなく

何度も往復したものでした

 

あなたと話したベンチに座り

あなたの髪を流した風の匂い

 

あなたがいたから ぼくがいた

そんな時代がありました



あなたと別れた この街は

今も プラタナスの花がきれい

今日は思い出拾い

最後にのぼった かの丘で

思いきりあなたの名を呼びました

 

あなたと戯れたプールをみつめ

あなたのくちずさんだ歌が

 

あなたがいたから ぼくがいた

そんな時代がありました



すべては遠い昔

おとぎ話となったけど

あなたのいない この街に

今もあなたがいるようでした