さびしい人 その後
さびしさを失った人は知りました
笑顔も喜びも 希望も夢も
自分が好きなように
心をあやつることを知りました
確かに自由でした
でも ほんとうに自由では
なかったのかもしれません
一日の始まりが朝起きることで
一日の終わりが夜寝ることだと
知りました
何もかも新鮮な世界でした
何もかも幸せになったとき
初めて幸せを感じました
そしてそれに導かれるように
不幸がめぐる人生を知りました
色とりどりに塗られたキャンパスが
真っ白な画用紙より美しいでしょうか
その人の心は色づいてしまいました
いろいろな色が混ざって
何ともいえぬ色になっていきました
すべての色が混ざってしまうと
色は薄汚くなるものです
透明だった その人は
いつの間にか 街の色に
染まっていました