2022-02-06 花びら 556 詩vol.5 花びら 雪どけた茶色い地面は 冬の冷たさを残している いつものように 春の光を浴びていれば よかったはずなのに どこからまぎれ 吹かれてきたのか 一枚の花びらが 舞ってきた 白く色づきはじめた 桜の花びらだった その美しさを 出し切れないうちに 哀しく舞わされ 美しく咲く 夢をたたれた 花びらだった そんな不幸な花びら でも十分なほど美しかった あたり一体に香をつけて 濡れた地面に吸い込まれた 地面は冬の眠りを解かれた