史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

石ころ     568

石ころ

 

ふと道端で 拾ったのは小さな石ころでした

どうしてそんなに気になったのかわかりませんが

そうせずにいられぬ何かが 僕の心に呼びかけたのです

 

なんとなくポケットに入れていた石ころが

いつの間にか かけがえのないものに思えてきました

 

僕の心があまりにもさびしかったからでしょうか

苦しくて握り締めたこともありました

悲しくて 涙でそめたこともありました

 

そうして暮らしているうちに

その石ころは だんだんつやが出てきて

美しくなりました

 

僕が苦しいときは コーヒー色とブルーに

僕が悲しいときは 水色に

僕以上に 僕の心を知っている

ちっぽけな石ころでした

 

いつものように ポケットに

小さな石ころを入れて

街に出ました

 

いつものように 一人 

何もすることもないので

石ころを捜してみました

 

どんなに整った石ころも

どんなに整った宝石も

僕の心に磨かれた石ころには

いやたとえ宝石でさえも

その石ころにはかなわなかったでしょう

 

僕は前ほどさびしくありませんでした

その石ころを拾ってから

僕は全てを石ころに話してきましたし

石ころは何も言わず

すべてを聞いてくれました

 

そうしたうちに

僕は妙なことに気づきました

石ころに僕と違った 

もう一つの気持ちがあるようなのです

 

僕が間違ったことをするといさめる心

僕がひねくれるとおだやかにさせる心

それは石ころの心だったのでしょうか

 

そうしたうちに僕は気づきました

その石ころを拾った街はずれの

大きな木の下にいつも立っている女の子に

 

石ころは僕に話しかける 

勇気を与えてくれました

 

なんとなく 

トントン拍子にうまくいって

友だちになれました