史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

叶わざりけり     570

叶わざりけり

 

君を訪ねし愛の日は

耐え難き暑き陽も

我が心のにぎたつ思いに

叶わざりけり

 

君を呼びだすベルの音に

はるばるいだきつ思いも

君の香 匂ひし声に

叶わざりけり

 

君に話せし言の葉は

一夜寝ずに考えしも

君の出だせし一言に

叶わざりけり

 

君とのぼりし裏山は

木陰に涼しき風あれど

君の流れし 長き髪

叶わざりけり

 

野山を染めし夕焼けは

金色に君が頬をてらせども

君のおりなす細き影に

叶わざりけり

 

君が手にくみ山水は

冷たく清く透みけれど

君が出だせし白き手に

叶わざりけり

 

君がかぎし愛の田園は

青く大らかに広がりけれど

君が熟し高き心に

叶わざりけり

 

君と過ごしし夏の日は

長く楽しく暮れにくけれど

君を思いし 我が長き思いに

叶わざりけり