史の詩集(続)Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集の続きです。

ふるさと     571

ふるさと

 

ふるさと 思い出 心にしまわれたものを

訪ねに帰ってきました

うつろになったこの心

若き日のたぎりを確かめたくて

もう一度だけと 帰ってきました

 

ああ これがふるさとの匂いです

僕の生れた街

そして 君と暮らした街

あのころの思いをこめたものは

どこにもないし

 

別れらしい別れもできず

去ってしまった 君もいないけど

ふるさとは 僕の母 今でも

暖かく 抱いてくれる

 

君をみつけた つかの間の喜びは

君と幸せをつかんだ人がいた

あまりに さびしくて

あまりに かなしくて

 

君と別れた覚えはないけれど

何をいまさら 言い訳なんて

君の幸せ願って 離れた僕なのに

 

ふるさと 思い出 心に沈めていたものを

そっと 掘り返しにきました

おちぶれてしまった この自分

若き日の大きな夢を確かめに

 

あのとき 涙ひとつみせず

君は去ったし

君の思い出 多すぎる この街を

ただ苦しくて見捨てた僕だけど