史の詩集  Fuhito Fukushima

福島史(ふくしまふひと)の詩集です。

Vol.10-1

Vol.10

 

1.恋心

 

君が気まぐれに 振り向くからいけないんだ

僕を思っているわけじゃないって 知りすぎているけど

一抹の期待をしてしまう

何度も 裏切られ 胸を引き裂かれ

心きしみ 痛み感じぬほどえぐられ

 

それでも愚かな 我心

それでも愚かな 恋心

 

抜け出せぬ無限地獄

僕の世界で貴方が大きくなり 

僕は貴方の心の一部となった

 

それなのに それなのに

貴方は僕の胃をよじるばかり

 

何もかも捨てたくなった

あいつに捨てられ こいつに捨てられ

こんなに捨てられちゃ 未来まで捨てたくなるよ

 

捨てられ続けて 拾ってくれる人もなし

そのたび悲しい思いをする 

偽りの世界 もう何もかも捨てたくなった

 

こっちから捨ててやる 大事にしすぎるから

待ちすぎるから 僕の人生なんて

捨てるだけの価値もないのさ

 

でも 誰も拾っちゃくれやしない

いや 僕に捨てられるものがあるのか



2.おぼろ桜

 

もう散っちまったよ

なんて悲しいだけの 人生なんだろう

桜をはかなく思ったのは 昔のこと

今ではひととき咲ける 桜さえうらやましい

もう枯れちまったよ

なんて寂しいかぎりの 青春なんだろう

 

早く朝になれ 明るい朝になれ

そして僕を安心させてくれ

明るい光で勇気づけてくれ

暗く静かな夜は耐えがたい

今の僕の心にそっくりだから

 

目のやり場がない ますますつらい

君の影が おぼろ おぼろ

ああ 情緒的な 夜よ去れ

希望だけが残る 朝となれ

一刻も早く 一刻も早く



3.うそ

 

うそつきはいけない

自分にうそをつく子が

一番わるいじゃないか



4.虫ケラの心

 

私の命を託した手紙

待っても 待っても 返事がこない

貴方は まるで虫ケラのように 私を無視する

そんな虫ケラにも これだけ苦しむ心があるのを知って

貴方にとっては他人事 特別の人にならないかぎり

 

人間社会の掟て その地位をめぐって

私は耐えに耐えた もともと報われるなど

思ってはいなかった でも運命って気まぐれ

少しぐらい狂っていい こんなに正確だなんて

 

時は流れ 貴方が流れ

私の心も壊れてしまう 

壊れないのは,時

壊れちまったのは 私の心

貴方は今もどこかで笑っている



5.ガラスの向こう

 

近くて遠いもの ビルの8階

ガラスの向こうに キラめく

 

僕は小さい時から

思いのままにならぬことはなかった

少なくとも相応の努力があれば

何でもものにできた

 

ところが 貴方の心だけは

何ともできなかった

どれほど 愛せばいいのだろう

永遠に見返りのない愛

果てしなく尊い 貴方の愛だから



6.星をおとした

 

財布が立派で

お金が入っていないと 人は笑うけれど

僕のお腹にも 何も入っていない

財布が 立派なら いいじゃないか

 

体中に 力がたぎっていたから

声をたたきつければ

あの星が おちるような気がした

 

それで そうしたら 

本当に 星がおちてしまった

 

僕はやったとばかり

かなり疲れた体をおこしたら

おとしたばかりの星が

光っているじゃないか



7.春風

 

なぜかしら いつの日か

名簿をさりげなく 見たときかしら

私が あなたの誕生日を覚えたのは

 

なぜかしら いつの間にか

忘れてしまったはずの 

貴方の誕生日が近づくと

 

私の胸に浮かぶのは…

思い出をこめすぎた

春の風の匂い



8.星をつくる

 

果てしなく 広い宇宙に

たった一人の私

 

どこかの星からか さまざまの感情

喜び悲しみ怒りが 星の雫のように飛んでくる

 

私は寂しさまぎれに それを一つずつ

手が届くかぎり 拾いあつめる

 

そして 手の中であたため 愛に変え

丸い 丸い 星をつくる

 

愛が冷めないうちに くるりと回して

今度は どこに置こうかしら



9.四季

 

あなたは春霞の中

朝つゆ光るレンゲ草を

小さな胸もとにつけてあげた

桜散るとき 手をつなぎ同じ門をくぐった

 

真夏の灼熱けた太陽下

久々に会えて 浜辺をころげあった

修学旅行は秋の日の紅葉が滝に

舞っていたとき 二度見かけたあなた

 

そして今 白い雪の華やかさに

冷たく凍えそうな 僕の心に

ほのぼの浮かんでくる

取り戻しようのない あなたとの想い出



10.悪魔と人間

 

悪魔のおせっかい 哲学者が言った

頭が割れるように痛い 悪魔が言った

ならいっそ割ってやろうか

いやいや そんな気がしただけた

 

恋愛情熱家が蘇った

胸をえぐられてしまいたい

悪魔なら

いっそ剣で刺してやろうか

詩人は興ざめて言った

いやいや そんな気がしただけだ

 

悪魔は結論を下した

人間には耐えられぬ

もうだめだと言いながら

いざ つきつめりゃ

自分で思っているより

はるかにしぶといんだから 世話ねえや

苦しみをオーバーに楽しんでやがる

恐ろしきものは 人間だ



11.亡霊

 

去ったのは貴方だ 諦めたのは僕だ

徹底的に愛した報いに 傷だらけになり 過酷なまでに

わずかな甘美ささえ知らずに痛めつけられ

嗚咽をもらしつづけたのは 僕じゃないか

貴方はどこ吹く風とばかりに 僕の横を通り過ぎて

幸せそうに誰かを愛する

 

僕はどんな女(ひと)をみるときも

その後ろに貴方の亡霊を見てしまう

貴方に対するうしろめたさ

新たに現れる女(ひと)に対する罪悪感

僕が何の罪を犯したであろう

愛は 一回きり 使い捨てのものなのか

静まれよ 亡霊 我身より永遠(とわ)に!



12.一瞬

 

貴方の心は 閉ざされて

僕の入るすきまもない

なら、僕は そのとりでの

命の根を止めてやる

 

そのとき一瞬

 僕は

貴方の意識に入り込むだろう



13.東京

 

東京に

会いに行きたいと

思えど

東京は遠くて近し

貴方は近くて遠し



14.目覚めたのは日の暮

 

出かけりゃ

金が要る

腹かすく

だから

僕はまた目を閉じる

 

やることもなけりゃ

金もない

女もいない

行くところもない

 

あまりあまっているのは

時間だけ

僕が自由に使える

唯一のもの

何もせずにも使える

大切なもの

 

だから 僕は

有効に使うため

また 目をつぶる

 

下宿 四畳半 秋の風

今日もはや 日が暮れる

 

やたら生きて

毎日が面白かろう

はずないさ

幸せなんて

道におちている

十円玉のようなもの

探したところで

見つかるもんではないさ

歩きつづけりゃ

そのうち 転がっているさ

 

それでも注意深く

一歩二歩 歩いた方が

見つかるだろうって

ハハハ

そんなことしてりゃ

空から鳥のくそ

落っこちてきて

当たってしまうか

電柱にぶつかるのがオチさ

 

思いわずらう ひまがあったら

外も歩いてみるのさ

何も考えずにね



12.寂寥

 

さびしいかい さびしいよ

甘ったれんじゃないよ

人間ほど ごみごみしているものはないね

自分の心を閉ざして

自分のさびしさ 分けあっている

何をつっぱっているんだろうね

急に気むずかしくなったり 気落ちしたり

元気を出したと思えば 気分をこわす

おかしいね おかしいよ

 

黙っているんだよ 人間ほど

みじめに肩をすぼめているものはいないね

あんまり うらめしそうな目で 

みつめるんでないよ

あの野郎にや ろくなものはないし

関わった日にや ろくなことはないさ



16.子犬

 

僕がいじめられっこに いじめられ

涙が渇くまで いくとこもなく

公園の水飲み場のまわりを

いったり きたりしていた

うすぎたない 小さな犬が僕の足元に

まつわりついてきた

 

僕はなんだか 腹がたって

いじめっこになった 子犬をけっとばした

子犬は痛々しげに たちあがりながら

きょとんと僕を見つめ また よりそってきた

 

僕が何となし 後ろめたさを覚えたときには

足は前より幾分強く 蹴っていた

でも子犬は 逃げなかった

憐れみを乞うように 僕をみつめていた

 

僕はいじめられっ子に戻っていた

この子犬 僕なんかより

もっともっといじめられてきただろう

いじめることなど知らないだろう

 

それなのに 何でこんなに

優しい目をしているのだろう

自分の無力を知りつくしているからか

 

僕は子犬を抱き抱え なでてやった

そのとき やっとわかった

自分を迫害するものさえ 信じ愛すること

この子犬は愛すれば

愛されることも 知っていたのだ



17.ビールがまわる

 

ビールがまわる

テーブルの上に

ビールがまわる

 

なごやかに雰囲気は盛り上がり

快楽を妨げるものは

今一時 全てを忘れて

幸ある麦酒に口をつける

 

一気に飲もうと 少しずつ飲もうと

とにかく不幸の解毒剤を

誰も熱心に 飲んでいる

 

ビールがまわる

誰もの体の中を

ビールがまわる

世界がまわる



18.世の中

 

世の中のこと 何もかも

あたりまえに思える

平和な世の中

恵まれた時代

 

でも世の中は 何もかも

狂っている

あたりまえに見えるだけ

真実はなく 偽りなり

 

神よ

厳かな

いかわしい衣を着

立派な髪をあごの先まで

とがらして

そんなに気取るなよ



19.青いリンゴ

 

待ちなさい

そのリンゴをとるのは

まだ青すぎるのです

 

青いリンゴは とっちゃいけないと

いえ でも そのリンゴは赤くなるまで

待たなければなりません

 

どうして 赤くなるのかしら

さあさ わかりませんけど

 

誰かが自分のことを思っていると

若々しい心が敏感に感じとって

耳元まで 真っ赤にそまっていくのでしょう

 

リンゴも恋するの おかしいね

見ず知らぬ相手に 食べられちゃうのにね



20.白いヴェール

 

僕の魂は ベットを離れ

森を散歩しにいった

ちょっとした気まぐれに

 

そして そこで出会った

白いヴェールにつつまれた

やさしい微笑の乙女たち

 

僕らは踊った 夜の盛り

月を照明係に

星が夜空にミラーボール

森の木々が歌っている

 

何とも軽い乙女の

足は宵を舞うように

白いヴェールも翻る

 

風邪になびくその髪は

時たま僕の頻を打つ

やさしく軽くくすぐったく

細い指は 柔らかに僕の手に添う



21.ヴェールの乙女

 

ゆらら ゆらら ふんわりと

まるでヴェールを風ですくように

乙女は自由にはねまわる

 

いつの間にか足もとの大地は消えて

うっそうとした森が

下に小さく見える

 

僕は両手を二人の乙女にひっぱられ

くるくるくるくる踊りながら

天に上る 高く 高く

 

森の散歩

いつも地上で乙女らの帰るのを

あんぐり見張る役の僕も

とうとう空へ舞いあがった

高く 高く 天に上る

乙女の微笑みのなか



22.少女

 

少女よ そんな目で見つめられると

胸の鼓動が あらわに高まり

額に汗がにじんでくる

息はつまり まわりは極度の緊張状態

光がお供し 一瞬にして消える

さあ 胸一杯にとどろかせよ

ずしんとした鼓動を 

この体全体 あますことなく

君のまなざしは 放たれた

一片の思いを逃すことなく



23.無謀

 

太陽よ

なんて赤裸々に燃えるのか

今 落ちようとして

一段と大きさを増した 

お前の胸に

俺はナイフをつきたてて

その場に止めておきたい

太陽よ 闇の中に放って置かれる

(でも刺さねばならぬ)

俺の悲しみがわかるかい

 

おお

空のかなたより

我を呼んだ太陽よ

どうしてもお前に会いたくて

無謀にも空に飛びたった

俺は すぐさま海におちた

 

そしたら何のつもりか

慈悲深い太陽よ

お前は水平線の

果てまで降りてきてくれた

 

どうしても お前に会いたくて

無謀にも泳ぎつづけた

俺は お前が海に没するやいなや

波にのまれちまった



24.砂

 

掌から

こぼれおちる砂を見て

彼の待人は嘆いた むなくそわるい

いっそ口の中にいれちまえば

渇いたこの砂が

どれだけ軽いかがわかっただろうに

 

拷問は続けられた 灼熱の太陽に

僕の体は骨まで ぼろぼろに風化しちまった

砂浜の砂の中には 白い粒があるだろう

光っているのは 貝のくだけたもの

鈍く白いのは 去年の夏

泳ぎにきた 僕のなれ果て

 

海を蹂躙していた 僕の目に

ひとしぶきの波が入ってきたとき

僕の体は 丸太になった

波のなすまま 浜にうちあげられ

誰かと思うまもなくさらわれて

 

波に打ちつけられ

うずまく砂にこすられて

僕の肉体は徐々に 崩れていった



25.祝福

 

あなたの愛に注いだ分、

あなたは あらん限り

誰かを愛すのです

 

それほど その人にとって

苦しいことはないです

いくら苦しめてもいいのです

 

愛の名において

祝福によって

その苦しみは 

掬われるものだからです



26.救い

 

こんなにつのる思い

貴方を見つめてきた僕を

貴方はさっと髪の毛を はなって

他の男の胸の中

 

そいつがうらやましくも 憎くもないし

あなたを愛する以外の

気持ちはさらさらない

 

つまるところ 行き場を失った

僕に戻ってくる

何ともはや 最後まで

救われぬ僕



27.漫才師

 

漫才師の巧みさに

驚嘆よりも 

親近感を持つのは

やはり俺もその類か



28.炎

 

青春の炎は

今にも消えそうに

かぼそく揺れていても

耐えきれそうもない風が

まともにぶつかってきて

消えたと思っても

生きているかぎり

燃えつづけているのです

 

その内なる光を信じて

僕は生きるのです

あきらめてはなりません

道は果てしないもの

到達できるところまでいくだけです

 

やりきれぬと思うのは 思うだけ

なんやかんや言っているうちに

すぎてしまうのです

 

怒りはささらぬ

どこにもささらぬ

我が胸が赤くそまった



29.詩

 

シッ 詩だ 死だ シダ Cだ

白い風が頬をきりつける

痛みさえ感じぬ僕さ

額に打ちこまれた釘が

少々熱くおびえてきた



30.幻想

 

月がブラックから 切り出されて

ぶらさがっています

夜空の裏側は

あんなにも 明るいのでしょうか

 

そういやあ 古びたナベぶたの

穴ぼこにもれくる燈は明り

さびしくも 笑っているではありませんか

 

さてさて 太陽は

元気にやっておりますことやら

聞いたところによりますと

あまりにもっともなこと

 

昼に生きている人が笑うので

かえって怪しくなりました

ナベぶたを持ちあげる

ちょっとのすきに

 

大きな手があくまで好意的に

熱い無節操な太陽を

自動温度調節の電源に

取りかえることもありましょう

 

あまりにまばゆいので

真偽のほどは定かでありませんが

この頃ちょっと調子が悪いみたいで

 

だいたいどうでもいいことです

愛を忘れるほど平和なのです

 

僕とても 凝らした目を妙にやかれて

せっかくの月まで 見られなくなっては

もともこもありませんもの



31.歩く

 

太い一本道を 僕は手をひかれて

歩いてきた

そして 今 分かれていく

 

思うがままに行きなさい

ここまで歩んだ

自分の力を信じて

 

道は途切れても

己の足で固めていきなさい

一歩一歩 命ある限り

力一杯 踏みしめて

 

僕は声の遠くなる方を振りかえった

誰も いなかった

今歩んできた道さえ 消えていた



32.人蓄無害

 

僕は君を追いつめた 両手を肩におき

哀願するような目で こういった

 

なぜ なぜなんだ

そうまでして 

僕から逃げるんだ

君はうなだれて 聞いていた

悲しそうにさびしそうに だまっていた

 

僕も何だか 憐れになって

君よりも僕の方が ずっと憐れだが

声を和らげていった

いったい 僕がなんだというんだ

 

君にとっちゃ 風みたいなもの

何の興味もない

害もない



33.ドラマ

 

君は 自分の胸もとを見つめていた

何か抑えがたい感情を必死に

耐えようとしているように

額に緊張がみなぎっていた

額がかすかにビリビリとひきついていた

 

小さな肩が震えたので 僕は左手をはなし

君のうなじをそっとなぜた

指先に全神経を集中させ

やさしく やさしく なぜた

自分の心の底を 深く深くえぐっていた

 

君は 哀願するような目をしていた

その口は開く気配もなかった

僕はただ自分の持てるかぎりの感情を

君にそそいだ

 

君の心の奥底に届けとばかり

君はいったい何とみているのか

沈黙がこの世界から

二人以外のものを抹殺した

 

君は小さくなったり 大きくなったり

横に広がったと思ったら 線のようになった

ありとあらゆる変化をしながら

やはり不動だった 目を上げようとはしなかった

 

僕は両手で君の首筋を愛撫した

いや 触れていないほどにだ

君からにじみでている 気をもらすまいとして

君が一瞬目をつむった

そして ワゥーと首を上げ 僕を直視した

 

その目にはあらゆる感情が 見いだせなかった

ガラス玉のように澄んだ目だった

僕はしずかに背を向けた

今度は君の焦点は あきらかに

僕のうしろで結ばれていた



34.海

 

海よ なぜ 僕をこばむ

いつかの日のように 僕の体をやさしく

受け入れてくれないのか

僕の嘆き言を黙って聞いてくれないのか

そんなにも激しく 白々とした

波を 僕を 打ち砕こうとする

 

なぜだ 海よ

君の強さが 悲しく

君の偉大さに 僕は孤独だ

君は永遠だ 僕にとっては―

そうだ この命奪われようとも

 

君と一体になれれば 何を悔やもう

いや 君はきっと浜辺に

醜い僕の死体を吐きだすだろう

ああ 海よ こんなにも

激しく荒れてこがれているのに



35.酒杯

 

君を忘れてしまったはずの僕の心が

ときめく

僕は忘れていなかった

君の面影

 

電話がなった 僕は飛び起きた

しかし 出なかった

運命を左右されたくなかった

 

酒杯を手にしたまま じっとみていた

水面に貴方の顔がうつった

暗く悲しげな顔だった

僕はゆっくりと口をつけた

そして 貴方の悲しみを飲みほした



36.神の死

 

神が死んだ いいことじゃないか

悪魔も死んだのだから

否 だから

世の中がつまらなくなったのさ



37.傘

 

お嬢さん 傘をおさしよ

雨にぬれては なりません

あなたの かよわい純粋な心が

溶けたら どうするのです



38.メロディ

 

ねぇ メロディ

今日はいやに浮き浮きしてるね

いいことあったの

僕は いつも通りさ

外には何もないよ

 

ねぇ メロディ

今日は憂鬱になりなよ



39.雨は

 

自分の生んだ子供に

殺される

なんたるドラマだ

親孝行だ

おかしすぎて

背筋がぞっとする

 

雨よ そんなに

チタチタと降ってくれるな

こっちまで悲しくなって

寝られないじゃないか

不幸な人間どものように

ザーっと降れ

そしたら こころよく

僕は眠りにつける

 

詩人だって

死人でたくさんだ

その方がよっぽどましさ



40.焦がれて

 

詩なんて書きたくない

言葉を並べて 遊んだって

何にもなるものか

でも でも この寂しさを

まぎらわすには

こうして 白い空白を

ぬりつぶしていくしかない

僕の心の空白を

 

空虚だ

布団でも 抱きしめていりゃ

貴方が忘れられようか

いや この魂の切なる訴えを

ただ ここに 吐き出すのだ

少しは ましになる

少しは 楽になる

 

君知るや

ここにかなわで

胸こがす

 

詩なんて書きたくない

言葉を並べて 遊んだって

何にもなるものか

でも でも このさびしさを

まぎらわすには

こうして 白い空白を

ぬりつぶしていくしかない

僕の心の空白を

 

ああ 空虚だ 人恋しい

 

ああ 貴方の

ほほえみがほしい

ただ一時

ただ一度

我が胸に